東京生まれHOUSE MUSIC育ち

悪そうな奴はだいたい友達なの?

ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎


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ゴールデンスランバー (新潮文庫)
ゴールデンスランバー (新潮文庫)

俺はどうなってしまった? 一体何が起こっている? 首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、国家的陰謀から逃げ切れるのか? 二年ぶり千枚の書き下ろし大作。

伊坂幸太郎の最新作「ゴールデンスランバー」を読み終わりました。
とても面白かったです。

勝手な予想なのですが、この作品で直木賞を受賞するのではないでしょうか。

どこか「魔王」に似たような社会で、首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の話。
魅力的な登場人物と張り巡らせた伏線が、「巧み」です。(from やべっちFC

伊坂幸太郎のことは、2年ぐらい前とかなり以前にの記事「気になる作家:伊坂幸太郎」に書きました。
読み返してみると、その記事で彼の魅力を3つ挙げ、以下のように書いていました。

ボクが感じている伊坂幸太郎作品の特徴は3つ。「魅力ある登場人物」、「伏線の妙」、「時間軸の飛躍」です。

上記3つに、もう1つ追加します。
それは「押し付けじゃない正論」。

普通に言うと恥ずかしいような正論みたいなものを、とてもサラっと冗談のように書くのです。
「人間の最大の武器は、信頼なんだ」とかっていう、普通に読むと顔が真っ赤になってしまうセリフをサラっと読ませるんです。
もちろん、魅力的な登場人物を描けるからなのですけど。

本書に話を戻して。

読んでいて、ひっかかったセリフ。
ネタバレになるかもしれないので、続きをどうぞ。
気になるセリフが書いてあるページ番号を電車の中でメモしていたのは、ボクです(^^

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逃げる青柳と追うポールマッカートニー

「俺はやってない。犯人じゃないんだ」

「犯人は絶対に、俺が犯人だ、とは言わないものなんだ」

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青柳を助けるロック。

「迫害されたものを命がけで救っちゃう派と、救わない派に分ければ、救っちゃう派なんだよ」

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キルオ

「国家ってさ、国民の生活を守るための機関じゃないんだって」

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青柳の父。息子を追いかけるマスコミに向かって。

「よし、おまえたち、賭けるか?俺の息子が本当に犯人かどうか賭けねえか?」

「名乗らない正義の味方のおまえたち、本当に雅春が犯人だと信じているのなら、賭けてみろ。金じゃねえぞ、何か自分の大切なものを賭けろ。おまえたちは今、それだけのことをやっているんだ。俺たちの人生を、勢いだけでつぶす気だ。いいか、これがお前達の仕事だということは認める。仕事というのはそういうものだ。ただな、自分の仕事が他人の人生を台無しにするかもしれねえんだったら、覚悟はいるんだよ。バスの運転手も、ビルの設計士も、料理人もな、みんな最善の注意をはらってやってるんだよ。なぜなら、他人の人生を背負っているからだ。覚悟をもてよ。」

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逃げている青柳が警察の児島に向かって。

「あれだよ、児島さん、人間の最大の武器は、信頼なんだ」